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22回目のイタリア遠征 <<Episode.05>>

★これまでのエピソードはこちらから

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<<Episode.03>>
<<Episode.04>>

イタリア・ミラノで1週間を過ごす中で、最高の施設でのトレーニングと現地クラブとの交流試合を通じて、たくさんの刺激を得てきました。少年期にサッカーに国境がないことを実感することができたのはとても貴重な経験になったはず。


異国の地でサッカーを「見る」こともまた大きな刺激のひとつ。ということで、次なる舞台はこちら。

ACミランのホームスタジアムである【サン・シーロスタジアム】です。およそ8万人を収容するイタリア最大のスタジアムは、ミラノ市中心部から20分ほどでアクセスでき、クラブオフィス"Casa Milan"の近くにあります。

今回の旅では、幸運なことにホームゲームを2試合観戦することができました。11月25日(土)の週末に行われた国内リーグ・セリエAの一戦(vsフィオレンティーナ)と、11月28日(火)に行われたUEFAチャンピオンズリーグの予選リーグ第5節(vsボルシア・ドルトムント)を生観戦。

★熱狂はキックオフ前から

サッカーの熱を感じるのは、キックオフの笛が鳴ってからの90分間だけではありません。その前後も含めて熱狂ぶりを五感をフルに使って感じることになります。まずはスタジアムにたどり着くまでの地下鉄移動。キックオフ2時間前にはスタジアムに辿り着けるようにしたにもかかわらず、ご覧の通り満員電車に。

興奮の坩堝に身を置きたいサポーターたちの狂気が入り混じった情熱は、地下鉄車内にも充満していました。特にチャンピオンズリーグ観戦時は、ドイツから押し寄せたドルトムントサポーターもいたこともあり、決して平和とは言い難い雰囲気が漂っておりました。こんなに緊迫感あふれる電車移動を体験することは絶対にレアなはず。

地下鉄の駅を降りて入場ゲートまで歩いていく間、私たちの両脇にはたくさんのフードトラックが。パニーノ(イタリアンサンドウィッチ)やピアディーナ(ラップサンド)を販売しているのですが、入場前に腹ごしらえをしておきました。

★フィオレンティーナ戦はおもてなしに大興奮

セリエA・フィオレンティーナ戦は、クラブからの特別な計らいもありキックオフ3時間前にスタジアム内へ。外の喧騒とは一線を画す静寂に満ちた空間で、ウェルカムメッセージ付きの記念撮影を行いました。おそろいのマフラーがいい感じ!

この試合はゴール裏のこのエリアから観戦することになりました。誰よりも先にスタンバイ!ピッチも近く、子どもたちはワクワクが止まらないようです。

すべてのゲートがオープンし、スタジアムに観客が入り始めたところで全体を2つのグループに分けました。なんと、ウォーミングアップで選手たちの近くに足を運べることになったのです。この先は私も入れないため、黙って見送ることになりました。

後ほど現地スタッフが動画と写真を送ってくれましたが、こんな事態になっていたようです!


Settimana Rossonera 2023
イタリア遠征"Settimana Rossonera 2023"での滞在期間中、23/24シーズンのセリエA第13節・ACミランvsフィオレンティーナを現地観戦。ウォーミングアップ中に、とても貴重な経験ができました!
https://youtube.com/shorts/SX5Hn_a6790?si=PKi6EumfYLHz5dks

試合に臨む選手たちとハイタッチしたり、ウォーミングアップを、選手たちを目と鼻の先の距離で感じながら見学したりと、大人である私たちが羨ましく思える体験をしてきました。

★いよいよキックオフ!

キックオフが近づき、スターティングイレブンが紹介されるあたりから周辺が慌ただしくなってきました。なぜならば大きなフラッグを振りまくるファンのみなさんが集結しているから!

反対側のスタンドは、クルヴァ・スッドと呼ばれるコアなサポーターが集まるゾーン。彼らの圧力すら感じる応援を真正面に捉えるのもなかなか迫力がありました。

試合はテオ・エルナンデスが決めたPKによる1点を守り切ったACミランの勝利。

82分、交代出場15歳のフランチェスコ・カマルダが、クラブ史上最年少でトップチームデビューを果たした。

Francesco Camarda's debut on first team
2023年11月25日、サン・シーロスタジアムで行われたフィオレンティーナ戦。試合終盤の82分、フランチェスコ・カマルダ選手がトップチームデビューを果たした瞬間に立ち会いました。15歳8ヶ月23日での公式戦デビューはセリエA史上最速。ACミランアカデミー愛知のテクニカルディレクターを務めるマルコ・ポンピーリコーチ...
https://youtube.com/shorts/RdjU_QiSZTA?feature=share

私たちのもとで尽力してくれているマルコ・ポンピーリテクニカルディレクターは、ユースセクターのU-10カテゴリー監督として16/17シーズンに10歳だった彼の指導に携わっていたという経緯もあり、このゲームを選んで渡伊できたことがよりポジティブに感じられた気がします。

試合終了は23:00すぎ、睡魔との戦いに負けてしまった子もいましたが、スコア以上に話題たっぷりの試合観戦となりました!


★欧州最高峰を決める戦いは、ひと味違う

興奮冷めやらぬうちに、11月28日(火)のチャンピオンズリーグのグループステージ第5節、ボルシア・ドルトムント(ドイツ)との試合の日を迎えました。週末に経験値を高めたはずなのですが、こちらの予想を上回るトラブルの連続でした。

まずはホテルからスタジアムまでの地下鉄移動。週末を超える満員具合で、スタートから1駅進むのにものすごく時間がかかりました!

何かにつけて数分〜数十分の遅延が当たり前。従業員ストライキもちょこちょこ起こしたりで、普段から市民の顰蹙を買いまくるミラノ市公共交通機関が、「チャンピオンズリーグ開催に際し、ダイヤが乱れております」とご丁寧なアナウンスをこまめにやってくる。不思議な時間を過ごしました。

午後をまるっと休息にあてて体力十分で出発したのに、スタジアムに着く頃にはみんなちょっとお疲れ気味。バス移動していても予期せぬ渋滞に複数回捕まっていた可能性がかなり高いため、このチョイスは正解だったと思うのですが、少し納得できていない自分がいました。

もちろん、本日も満員御礼ソールドアウト!キックオフ40分前になっても、ゲート前から動くことができず。身分証の提示が必須なのですが、最後は警備員チームも諦めたのか、ノーチェックでスタジアム内に入場しました。笑

息を切らしながらみんなで(迷惑にならない程度に)急いで通路を駆け上がって到着しました。本日はメインスタンド3階席です。1席に2人座ってるんじゃないかって思うぐらい、パンパンに詰まっております。

急勾配になっているスタンドから、覗き込むように試合を観戦します。バックスタンドから冷たい風が抜けてきますが、それを忘れさせるほど熱いゲーム展開でした。

ちなみに、前回は正面に捉えていたクルヴァ・スッドの真横。完全に黒一色で仕上がった熱狂的サポーターが集うエリアです。手を叩きながら飛んで跳ねて、時折爆竹が鳴って、視覚と聴覚にビンビン訴えてくる圧力にも似たパワーを間近に感じることができました。(正直ちょっと怖かった!と声にする子もいました)

なお、スコアは1-3と完敗。結果的には、この敗戦がグループステージ突破を困難にする形になりましたが、同点ゴールが決まった瞬間の歓声の大爆発は子どもたちの脳裏に焼き付いているようです。

大人も安全管理に気を配りながらしっかりと楽しんでおりました。私自身海外サッカーを初めてスタジアムで観戦して20年が経ちますが、今回が初めてのチャンピオンズリーグ観戦。テレビのスピーカー越しに聞いていたあのアンセムを、自分の耳が捉えた瞬間の幸福感は一生忘れないと思います。

2試合を観戦したサン・シーロスタジアムは、良く言えば「熱狂と興奮の坩堝と化した」、悪く言えば「決して安全とは言えない狂気に満ちていた」空間でした

ボールこそ蹴らないにしても、少年たちの記憶にくっきりと刻まれたであろう【サッカーのあるべき姿】。この刺激がプレーヤーとして、そしてひとりの人間として成長する際に求められる、「殻を破る」瞬間に一種の起爆剤として機能することを願っています。

なお、私たちの後列には、同じアカデミー仲間のACミランアカデミーケララ(インド)のスタッフとプレーヤーたちが座っていました。私たちと入れ替わりで、ミラノで同じく1週間のサッカー体験プログラムに参加します。

地理的には大都市・ムンバイに近く、アラビア海に面した温暖な地域からやってきたということもあり、寒さには滅法弱いようで、手袋・ニットキャップだけでなく毛布まで持ち込む完全防備っぷり。さらには24時間超の長旅を終えて到着したその当日の夜だったということで、私たちよりも早く睡魔に襲われておりました。笑

こういう仲間に巡り会えるのも、このプロジェクトに携わる大きな刺激の1つです。

<<Episode.06に続く>>











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