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#不完全を愛でる
共創型モノづくり「この指とまれ」で蓋物のお椀をつくろうと陶芸家の方に相談しています。粘土で形づくった際にはピッタリ合っている蓋が、焼くと収縮率の違いで合わなくなることがあるそうです。そう聞けば「そりゃそうだろう」と思えます。腕の問題かと言えばそうとも言い切れず、一定の割合で生じ、合わないものは破棄するそうです。歩留まりが悪くなる分は正規品のコストに反映されることになります。面白いことに、以前に老舗料亭で江戸時代の器だというカタカタと音がする蓋物を「最初は合っていたかも知れないが、たくさんあるからいちいち合わせていられない」と説明されましたことがありますが、他の客人も私も妙に納得して料理を頂いたことがあります。
その背景にあるものを知って理解し、あるいは経験して納得すれば許容できることは沢山あります。いっそのこと、これを文化的成熟と考え、その不完全さを愛でることができたら豊かな気持ちになれそうです(文・正木)