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#7 見返りを求めてはいけない

「学生の時に何をしたらいいと思いますか」「インターンシップをどうやって選んだらいいですか」「大企業とスタートアップどっちがいいですか」など色々聞かれることが増えています。自分なりに、学生の頃、若手の頃に何をすべきかについて思い至ったことがあるので綴ってみたいと思います。

何を得られるかわからないことに身を投じる

結論から言います。学生の頃、若い頃にすべきことは、"その先に何が待っているか、何を得られるかわからないことに対して、全力で取り組んでみること"だと思いました。最近よく聞くのが、コスパ(コストパフォーマンス)、タイパ(タイムパフォーマンス)という言葉です。

毎回何かしら私のストーリーを読んでくださる方の学びや気づきになればと思うので、1つフレームワークをご紹介します。『IPO(インプット・プロセス・アウトプット)』という思考の枠組みです。料理に例えるなら、I(インプット)は材料、P(プロセス)はレシピ、O(アウトプット)は最終的なお料理です。

何が言いたいかというと、コスパやタイパというのは、一定のお金や時間(インプット)を投下すれば、これくらいの変換効率(プロセス)で、これくらいのリターン(アウトプット)がもらえそう(もらえて当然だよね)という発想だと思っています。

ただ、これは答えがある世界、予測ができる世界でのお話だと思っています。経営者として、ROIやROEを磨いていくことは大事だと思っていますが、それは戦術的な話で戦略的な話ではないと思っています。そもそもそんな効率を度外視して勝てる場所を探すのが戦略だと思います("戦略"の定義もまた人それぞれなので深入りしないでおきます)。そして、学生や若手が"効率"を考えるのは、"今"を生きる上では良いかもしれませんが、"未来"を生きる上ではあんまり意味がないと思っています(というかジジくさいなと思います)。

学生や若手の方がこれから直面するのは、「答えのない世界」もしくは「努力が報われるかわからない世界」です。つまり、コスパやタイパのわからない世界に船出していくわけです。そんな時に、コスパだのタイパだのしか考えて来なかった人たちは、常に誰かの後ろを追いかけることしかできません。"その先に何が待っているか、何を得られるかわからないことに対して、全力で取り組んでみること"が、そういった世界を生きていく上での予行練習になるのではないでしょうか(勿論まったく何も考えずにわけのわからないことをするのはただの無謀ですが)。

ちょっと昔話

このパラグラフは私の昔の話なので読み飛ばしてOKです。私が学生時代にインターンシップに臨んだのは、就職活動が終わってからです。だから、最近の子たちのように「就職活動の為に」みたいな発想(見返りを意識した発想)ではなかったです。ただ、「今しかできないことをやろう」と思いました。

私がインターン先に選んだのは、『カンボジアにおける児童買春をなくしたい』というNPO(非営利団体)でした。正直、NPOにも、カンボジアにも、児童買春にも、まったく興味はなかったです。興味がなかったからこそ、「今しかできない」と思いました(勿論、解釈を広げれば今しかできないわけではないですが)。

その上で、ガムシャラに働きました。当時の熱量を測るバロメータとして、定量面・定性面でお伝えします。定量的な話で言えば、それこそ学校とバイトがない時は、インターン先の事務所に入り浸っていました。そして文字通り寝食を忘れ、朝から晩まで働き、インターン先の雑居ビルの一室の床でみんなで雑魚寝し、また起きて仕事するみたいな生活をしていました。また、当時はインターンで有給ってあんまりなかったように思います。私も交通費以外は出なかったと思います(もし時給発生していたら無茶苦茶稼げていたはず)。一方で、定性的な話だと、よく上司と喧嘩していました。「俺の方が詳しいんじゃ!」と思い上がっていたからです(完全に思い上がりです)。今の学生で、インターン先で上司と喧嘩するほど自分の仕事に誇りと拘りを持っている人がどれだけいるでしょうか(いたずらに喧嘩しろってことが言いたいわけじゃないです)。

果たして、私のインターンシップ活動はコスパやタイパが良かったのでしょうか。答えはYesです。ただ、得られたリターンは、金銭やスキルなんかじゃありません。"出逢い"です。私は、あの時、あの場で出逢った方々に憧れずっと仕事をしてきました。あの時一緒に仕事をしたインターン仲間とは今でもお互い切磋琢磨できています(と私は思っています)。あの時出逢った方々には今でもお世話になっています。あの時の出逢いや経験がなければ、私の価値観は凝り固まったままでした。これだけの人生の糧を得られたのです。これ以上のリターンはたぶんないと思います。一方で、こういったリターンが得られることが、インターン先を選ぶ時点、仕事に取り組む時にわかっていたかと言えば、答えはNoです。そして、見返りを求めて働いていたわけでもないです。

最近のインターン生は(一括りにするのは失礼ですが)、インターン活動を"仕事(ライフワーク)"ではなく"労働(ライスワーク)"だと思っている子が多いように思います。勿論、アルバイトではなくインターンを選んでいるので、単純なライスワークとは捉えていないと思いますが、むしろ質(たち)が悪いと思っています。言葉を選ばずに言えば、「アルバイトと同じ働き方で、お給料がもらえて、アルバイト以上の権限を与えられて、職業体験ができて、仕事の仕方を"教えてもらえる"活動」だと思っている子が多いです。そんな虫が良い話あるわけありません(が、最近は猫も杓子もインターンシップと学生も企業も言うようになってしまい、もう私がイメージしている「インターンシップ」という言葉は失われてしまったのだと思っています)。

意義付けするのは自分次第

やや愚痴っぽい話(に聞こえるような話)になってしまったので、結びたいと思います。"その先に何が待っているか、何を得られるかわからないことに対して、全力で取り組んでみること"の結果については、私は正直お約束はできません。なぜなら、結果に対して意義(価値)を見出すのはあなた自身だからです。"価値"というのは常に主観的なモノです。絶対的な基準なんてありません。自分が全力で取り組んだ経験は、他人にとっては価値がないように映るかもしれませんが、自分がそこに価値を見出せたなら、それは必ずあなたの一生の財産になると思います。もし、あなたが他人に価値を決めてもらわねばならない人だとすると、それは常に他者に依存して生きることになり、私はそれをとても不自由だと思います。

選択(意思決定)をした数が、ビジネスにおいても、人生においても、重要な要素の1つと言われています。誰かが決めたコスパやタイパなんかではなく、自分がやりたいと思うこと、今しかできないと思うことに対し、一旦アホになって身を捧げてみてください。きっと何かが見つかると思います。OIRGO JAPANはそんな方を応援しています。

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