1
/
5

弘法大師の路

旧暦3月21日にあたる4月21日、弘法大師(空海)が入定された日である。
入定とは死を指すが、仏教においては永遠の瞑想に入ることを云う。
そして今なお、大師は高野山の奥の院で深い瞑想を続けておいでになると信じられている。
この弘法大師入定の日を前に、青工逢山では弘法大師の歩んだ「路」を華で表現した。
隅々までご覧いただきたい。


お遍路

弘法大師の歩んだ路とは、ここでは「お遍路」の意である。
四国遍路もしくはお遍路とは、冒頭で触れた弘法大師が修行したと信じられている四国に点在する八十八カ所の霊場を巡る壮大な寺院巡礼のこと。
巡ったことのある方も多いことだろう。
かく言う小生も、まだ旅の途中ではあるが数十カ所の霊場を巡った。
一度に全ての霊場を回らず、数回に分けて巡拝するいわゆる区切り打ちの方法をとっている。
その旅の道中、そこかしこで目に留まった華を思い出しながら本作品に盛込んだ。
柑橘、松、栴檀(せんだん)、黒鉄餅(くろがねもち)等々…
かの弘法大師も同じ華を目にしただろうかと思い巡らせながら活けた。
「同行二人」の精神で華を活けてみた。
初めての試みであった。
常に弘法大師が共に歩んでくれる、自分を鼓舞してくれていると云う。
本作品は、まだお遍路旅をしていない方にも、その道程の一端と精神を感じてもらいたく、制作したものである。
自らがお遍路旅に求めること、途中、五感で感じたこと、考えたこと、自問自答を繰り返して得られたこと、未だに分からないままのこと。
これらの中に精神的な充足感を見出していただけたなら望外の喜びだ。

おわりに

お遍路全道程1142kmの道のりにおいて、如何に「悟り」の境地に近づけるか。
それがお遍路という修行だっただろう。
現代では修行のみならず、近親者の供養や病気平癒、家内安全祈願などのほか、気軽に心の充実や癒しを求め、はたまた観光の一環として、旅の一つの形となっている。
お遍路は八十八カ所を巡り終えてもなお、何度でも巡りたくなるそうな。
終わりはないのだ。
弘法大師も今なお巡り続けていると云われている。
いつか路の途中でお会いできるかもしれない。

皆々様にもお遍路をお勧めしたい。
何を目に映し、考え、心に残るだろうか。

株式会社AINEXTでは一緒に働く仲間を募集しています
今週のランキング
株式会社AINEXTからお誘い
この話題に共感したら、メンバーと話してみませんか?