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人は城、人は石垣、人は堀

五月五日 端午の節句。
言わずもがな、男児の壮健と立身出世を願う日である。
この端午の節句によせてAINEXTのエントランスに進上した我々青工逢山の作品をご紹介する。
獅子噛と白毛を配した赤兜は、武将「武田信玄」のもの。
兜の周りには菖蒲と牡丹をたっぷりと寄せた。
雄々しく壮麗な兜飾りに、華々しく流麗な花々を織り交ぜ、力強くも優美な一品とした。
本作品は、元来の端午の節句の意味合いに加え、とうに子供時代を過ぎた大人たちにとっても楽しんでもらえる内容を目指したので、以下に続く解説に目を通してもらえれば幸甚だ。


牡丹獅子

菖蒲は「勝負」に通ずる花として端午の節句に無くてはならない花である。
牡丹については「丹」の字が不老不死の仙薬を意味することから、古来より縁起物とされる。
獅子は「百獣の王」、牡丹は「百花の王」とも呼ばれ、両者揃い踏みの「獅子牡丹」とは、勇猛さと気品、雅趣あふれる吉祥の図となる。
神獣とされる堂々たる獅子が、柔らかくも華麗に花開く牡丹に戯れる姿は、微笑ましくも感じる。
獅子と牡丹の取り合わせは、能の「石橋」や歌舞伎の「連獅子」にも登場するので、まだご存知ない方は、是非検索してみてほしい。


人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり

前述した武田信玄は、日本戦国時代最強と言われた武将の一人で、風林火山の名の下に、生涯で七十戦以上を戦い、負け戦はたった三戦という常勝軍団を作った。
あの織田信長が最も恐れていたと云われ、徳川家康を完膚なきまでに打ち破るなど、後に天下を統一する二人の名将に多大な影響を与えている。
病さえなければ天下統一に最も近かった人物とまで云われる。
さて、信玄公についての解説は名残惜しいがここまでにして、本題に入りたいと思う。

信玄公といえば、多くの名言を残しているが、その中から以下を取り上げた。
  人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり
これは、人こそが守りになり、情けは人の心を繋ぐことが出来、対して恨みが多ければ敵を作り身を滅ぼす事になる、という内容である。
社会生活においても当てはまる部分を感じたのではなかろうか。
この言葉をどう捉え、いかに自身の社会的営みに反映していくかは、それぞれであると思う。
皆々様のお手並み拝見といきたい。


おわりに

本作品には、端午の節句、武将兜、能や歌舞伎の演目、などなど盛りだくさんの意味合いを込めた。
節句に飾る武将兜に至っては、今回は武田信玄を選んだが、真田幸村や加藤清正、上杉謙信、徳川家康、その他にも多くの有名武将の兜があるので、話題に事欠かない。
菖蒲や牡丹についても話足りない部分はあるが、華道作品であるゆえ、まずはとくとご覧いただきたい。
そして盛込んだ要素のいずれか一つでも興味を持って更に探求してもらえれば、我々が作品作りをする中でのこの上ない喜びである。

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