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デザイン会社への就職活動~人文系学部とデザインの接点を探るVol.1~

よくいただくご質問に「デザイン系の学部ではないのですが、応募は可能ですか?」というものがあります。デザイン会社の選考において、総合大学の学生はどのように準備をして選考に臨んでいたのでしょうか、また選考官側はどのような観点で選考をしているのでしょうか。

実際に総合大学出身で新卒入社をしたウェブディレクターの内田絢斗と、選考全体を見ている代表取締役会長の上原哲郎に話を聞きました。

/登場人物:株式会社コンセント|ウェブディレクター 内田絢斗(写真左)
早稲田大学文化構想学部卒業後、2022年4月にコンセント入社。大学時代は社会学・文化学を専攻しつつ、出版物の企画編集・エディトリアルデザインへ自主的に関わる。入社後の現在は主に大規模ウェブサイトの運用プロジェクトにPMOメンバーとして関わる他、小〜 中規模ウェブサイトの制作にウェブディレクターとして携わっている。
/登場人物:株式会社コンセント|代表取締役会長 上原哲郎(写真右)
2002年に株式会社コンセントを設立。大規模企業サイトやサービス提供サイトのUX・UI改善、大手キャリア新サービス開発、教育分野におけるデバイス活用のプロジェクト等を行う。全方位の好奇心が特徴。


自己分析を更新し続ける

―大学ではどんなことをしていましたか?

内田:
早稲田大学文化構想学部で社会学と文化学を専攻して、主に若者を取り巻く人間関係を勉強していました。その他にも異文化交流、美術・メディア文化など興味関心にあわせて幅広く学びました。
それと並行して、学外では出版物の企画に携わったり、趣味で印刷物やポートフォリオサイトをつくったりしていました。振り返ると、色々なことに手を出していた学生生活だったように思います。

―就職活動はどう進めましたか?

内田:
大学3年の冬くらいから始めました。総合大学の文系出身だとビジネス職がとられやすいだろうと思っていたので、始めはかなり雑多に、インターネット上のコミュニケーションやエンタメに関わる会社のビジネス職・プランナー職を中心に受けていました。的が絞り切れていなかったこともあって序盤から中盤までは上手くいきませんでしたね。

自己分析はまずどんなことに楽しさや嬉しさ、辛さを感じてきたかを洗い出しました。それを元に友だちや母からどんな人間として受け取られているのかを聞いて回って、それを繰り返すうちにだんだんある種のこだわりみたいなものが見えてきたので、それを就活軸にしていきました。それをもって終わりではなく、就活中更新し続けました。

自己分析を重ねるなかで、広告会社のコピーライター系の職種やメディアの編集職を受けるようになり、コンセントに出会ったのはその頃です。とあるコピーライティング系の会社でブランディングワークショップに参加した際に、そこの社員さんからデザイン会社が合うんじゃないかと教えていただいたのがきっかけになっています。
それまではあわよくばという気持ちでクリエイティブ職を受けていましたが、そのアドバイスをもらって総合大学文系の私でもデザインをメインにする会社を目指していいんだと思い、それからはクリエイティブ系・デザイン系に絞ろうと、吹っ切れることができました。

公開情報から企業と自分の繋がりを確かめる

―コンセントへのエントリーに向けて準備したことを教えてください。

内田:
エントリーシートと課題作文が必要で、それにもともともっていたポートフォリオを添えて提出しました。
準備に際して、コンセントの関連サイトは本当に読みまくりました。新卒採用サイトを見た時からなんとなく価値観がマッチしそうだなとは思っていたんですけれど、それをもう少し深掘って、私とコンセントにどういう重なりがあるんだろうと確かめるつもりでいろんな記事を読んでいた記憶があります。
デザインをつくっていくうえで、社会にどういう影響を与えていきたいかつづられていたところが好印象で、ものをつくるだけではなくて、これからのデザインに向き合い続けている会社なんだろうなと感じました。

―自分自身についてどのように伝えようと考えていましたか?

内田:
自分が何を考えてつくったかとか活動してきたかというところはかなり意識していました。
ただ、制作物だけだと私のすべてを伝えきれないと思ったので、自分とコンセントとの間に感じている繋がりみたいなものをしっかり伝えるようにしていました。
たとえば、事例紹介を見る中で、自身の所属学部のパンフレットをコンセントが手がけていたことを知りました。私は実際にそのパンフレットを見て大学に入っていたので、そのエピソードを話して個人的にご縁を感じていることを話しました。
あとは、インクルーシブデザインの記事を読んで自分が専攻している学問とコンセントの活動が繋がっていると思った点を説明しました。

―就職先を選ぶ上で意識していたことは何ですか?

内田:
私自身、人や組織と付き合う時に価値観がどうマッチするかを重視する人間なんです。
単純に強みを伝えて仕事で活躍できるかということ以前に、会社って長い期間その身を置くコミュニティだと思うので、人と人が合わないと多分つらいよなと思っていました。
だからこそ、価値観をちゃんとさらけだして、お互いに開示したうえで選んでほしいという思いをもっていました。

その人の良いところを見出す選考

―選考に対しての考え方を教えてください。

上原:
デザインを学んできたかどうかに限らず、内田くんが言ってくれたような、価値観がコンセントと合っているかや、その価値観の中で活躍できそうかという点を優先度高く見ていると思います。クリエイティブ系の学生であっても、現状のレベルだけではなく観点やスタンスを優先度高く見ています。
あと、ものすごく優秀な人はクセが強いのもよくあることで、多少引っかかることがあっても次の選考でまた会いたいと考えることはあります。悪いところではなく、優れているところを重視します。新卒で入社した社員が劇的に変わることもよく見ているので、我々が望んでいる良いところが今後どのくらい伸びるかという評価をしていきます。減点法ではないです。

現場から採用を進めて、最後に社長面接みたいなかたちをとることが多いかと思いますが、クセの強さや足りないところは面接で目立ちやすいんですよね。でも、学生から社会人になる環境の変化のなかで大きく成長するタイプであれば問題ないです。とにかく良いところを重視します。役員や代表が一次面接に入ることで、クセのある優秀な人も拾うようにしているんです。

―総合大卒の学生を選考するときにどのような点を気にしていますか?

上原:
総合大だからということはなくて、どんなバックグラウンドをもつ学生であっても、どういった考え方をする人なのかなど価値観を重視していて、専門性のある学部学科であればそこも評価します。
もう少し噛み砕くと、就職活動向けに何か短時間で模範解答のようなことを準備してもあまり評価は変わらないかなと思っています。素のままでも大丈夫。ただ、コンセントのサイトなどに出ている情報を一通り見て、自分自身で考えを深めたり、会社の理解をしてもらうと尚良いです。
難しい質問をするわけではないので、テクニカルな対策よりかは、普段考えていることを整理しておいてもらうのがいいと思います。対話をすればどういうタイプの人か分かるようになるので、強いて言うなら、前の晩よく寝て、緊張しないようにしましょうというくらいかな(笑)

メタ視点を見る面接

―コンセントの面接で印象的だったことを教えてください。

内田:
面接時の日記を読みかえしてみると、「一次面接からすごい深い質問してくるな」って過去の自分が思っていたみたいです。
他の企業だと、強み弱みだったり志望動機だったり、ある程度こういう質問が飛んでくるだろうっていう予想ができる質問が多かったのですが、コンセントでは価値観やどういう思いでやってきたのかに関する質問を多くもらっていました。

上原:
面接の技術的な話になるのだけど、「強みは何ですか」と聞いている時は強みだけを聞きたいわけではないんですよね。自分のことを客観的にどう認識しているかとか、そのスタンスとか、その分析力も知りたいんです。
あと、模範解答も参考にはなるけどやはり情報としては足りなくて、どのようなことに興味をもっているか、またもてそうかなど将来の可能性に関わるところを特に聞きたいと思っています。

内田:
面接の時どういう評価をされていたのか知らないのですが、当時の私に対しての印象はどういうものだったんですか?

上原:
役員の評価が高かったんだよね。分かりやすく目立つ武器はもっていなかったけど、考えるタイプで、入ったら成長する見込みがあるという評価でした。
面接の場で分かりやすく優秀で、それを納得度の高いかたちで説明できる人の場合は多くの選考官から高評価になるんだけど、そういう評価軸だけではなく、考える時のスタンスであったり原動力や興味対象であったり、コンセントが求める筋の良さも評価するポイントとしては大きいかな。

内田:
そういえば、社会に向けた発信活動に取り組んでいきたいという私の話に、それはどうしてかと聞かれて、自分一人でできることに限界があるからと答えたんですが、選考官(役員)の方から褒めてもらいました。

上原:
そういう価値観の人もいるし、「私が私が」という考え方でも学生の時はいいと思っています。個人の限界があるからチームプレイのほうがパフォーマンスは高くなるんだけれども、専門性が高い人だと自分のレベルをどんどん高くしていきたいという考えの人も多いので、そのくらい独りよがりでもいいんじゃないかなと思っているけどね。
ただ、独善的ではなく、生産的な協力を周りとできるようになることをプロとして期待しています。

面接を通して働き方の解像度をあげる

―面接の中でコンセントのことをどう理解していきましたか?

内田:
面接の後半で、私から選考官の皆さんにたくさん質問をさせてもらいました。
一次面接の時に選考官の方から「どちらかというと、つくるより考えるタイプなのかな。ディレクターの仕事が向いているかもしれない」と言われたので、二次面接ではディレクターの仕事についてくわしく聞きました。デザイン会社でどういう活躍ができるのかの解像度があがっていったと思います。

また、カルチャーに関わる質問として、コンセントの文化の中でどういうところが好きかを聞きました。印象的だったのは、「フラットな社風」と率直に返ってきたことでした。素で話す風土というのは面接の対話の中でもいろんな社員さんから感じていたことだったので、この会社は自分に合っているかもしれないと実感を強くもてました。面接の中で聞かれる質問が表面上のものじゃないこともわかっていたので、就活用の私ではないところを見ようとしてくれているなと感じましたね。

もちろん事業の幅広さや、インクルーシブデザインにしっかり取り組んでいること、行政系のプロジェクトも携わっていることなど他にも魅力を感じました。

デザイン会社を志す学生へのメッセージ

―デザイン会社で働くこと志して活動されている学生に向けてアドバイスをするとしたら、何がありますか?

内田:
デザインやアート以外の興味関心も含めて、好きなことや人格に近いところも安心して伝えてほしいです。今までの私の就活経験から話をすると、もちろんアウトプットをつくるスキルも価値があるものだと思います。ただ、それがコンセントのデザインのすべてかというとそうではないだろうと思っていて。
実際の現場ではいろんなバックグラウンドをもった人、専門性や関心、ひいてはパーソナリティをうまく組み合わせながら進めていく仕事が多いです。その中で、もともと関心をもってやってきたものや自分の癖みたいなものと、デザインやコンセントとの繋がりが見つかるんじゃないかと思っています。

だから、ぜひ「私はこういう人間なんです」というところをそのまま深めてきてほしいなというのが、コンセントに入社した元・就活生としてのアドバイスです。コンセントで働いている先輩社員たちもそれを受け入れてくれるはずですし、私自身が、私のまま就活してよかったと本当に思っているんですよね。私は会社に入るために何かしらの鋳型にハマることができなかった就活生でしたが、それをしなかった結果として、価値観のマッチするコンセントに今いられている状況があるなと思います。

上原:
我々が言う「デザイン」というものの広大な領域をやっぱり皆さんに認識してもらわないといけないですよね。デザイン会社を標榜するとどうしてもクリエイティブの専門性が要求されていると見えてしまうのだけど、それだけではなくて、幅広く募集していることを伝えたいです。そういうとクリエイティブの強い人を求めてないと思われてしまうので、それもまたそうではなく。

社会学、心理学、文学部、哲学、経済学、法学部などいろんな興味や知識のある学生と一緒に仕事をしていけることを望んでいるし、実際に本当に求めているし、そういった出身の人がコンセントに入って活躍しているということを伝えたいです。
もちろん理系の人、たとえば生物学を勉強している人、農業、宇宙の研究をしていた人も活躍しており大歓迎です。私も大学では理工学部の物理化学をやっていたしね。好奇心や探求プロセスの経験が役立つ仕事は非常に多いのです。

コンセントで働いている仲間は多様な出自からデザイン会社で活躍できることを実感していると思います。全ての学生が対象だということを知ってほしいですね。


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