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一人ぼっちにさせない優しさ

Photo by Madie Hamilton on Unsplash

私は宴会の席で余った食べ物を見ると、フードロスを極力減らしたい想いから「誰も食べないなら私が」と自ら積極的にお皿を空にする。ということがよくあります。

そんな私の姿を見て、大抵の人は「よく食べるよね」と言います。それ以上でも以下でもないその言葉が、なんとなく「よくそんなに食べられるよね」「大食いだよね」「食い意地はっているよね」と聞こえてしまうことは、少なくありませんでした。

私が、当社に入社してから感動したことの一つに、「フードロスを最小限に抑えようと真剣に考える人たちの姿」が挙げられます。数百人規模の宴会なら、どのようにすればフードロスを削減できるか慎重に考えて発注します。小規模の飲み会ならばコントロールはより簡単になりますが、余りそうな料理があると、食べられる余力のある人を全力で探します。

しかし、どんなに計画を練っても上手くいかないことはあります。


あるとき、もう会計も済んで皆が帰り支度を始めようとする頃、テーブルの上に余った料理を見たベテランライフプランナーのOさんが「フードロスはいけないよ。」と寂しそうに、繰り返しつぶやきました。しかし、Oさんにはそれを食べる余裕が少しも残っていないようでした。私はつい、いつも通り「じゃぁ、私がいただいちゃいます」と申し出ましたが、退店の雰囲気が流れていたため、もう、私の手元にカトラリーはありません。Oさんが「お箸ください」と声をかけると、お店の方はすぐにお箸を用意してくれました。

たった一人でほとんど手つかずになっていたお皿の料理を食べ始めた私。Oさんをはじめ、同じテーブルにいたライフプランナーは誰一人立ち上がりません。そこにいた誰も私に「よく食べるよね」なんて言いません。それまでと変わらぬ他愛のない会話を続けているだけなのです。何事もなかったように。

当然のことのように聞こえるかもしれませんが、一人で食べ続けていても「ひとりぼっちじゃない」と感じられたのは初めてだった気がします。私を物理的にも、気持ちのうえでも、一人ぼっちにさせないように、変わらぬ空気感を作り出してくれたOさんの、何とも言えない温かな優しさを感じずにはいられませんでした。

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