短編映画《恋の食卓》
東京都武蔵野市吉祥寺駅付近、貿易会社を2か月前に解雇された台湾人・林チェンペイは、同棲相手で同じく台湾人の恋人・陳の求職の勧めも碌に聞かずTVゲームに明け暮れていた。 しかし、そこにチェンペイの父親・レイーロンが前触れなく泊まりにくる。チェンペイは父親の期待する自分を演じるため、陳にレイーロンの足止めをさせて、自分はあたかも仕事から帰ってきたかのように装い、親子久しぶりの対面を果たす。 わざわざ日本まで訪ねてきた理由を聞いても、ただ娘に会いに来ただけだと言うレイーロンを不信に思うチェンペイであったが、兎に角失業していることを隠すため、渋る陳に口裏を合わせるよう頼む。 翌日、二人はレイーロンに近所を案内する。彼等の仲睦まじい姿を観たレイーロンは陳と二人になった際、日本まで訪ねてきた本当の理由、再婚することになった旨を打ち明ける。今は亡き母親を慕っている娘には伝えづらいレイーロンであったが、タイミング悪くチェンペイはその会話を聞いてしまう 衝撃を受けたチェンペイは陳との口論の末に失業の事実を露見させてしまい、興奮冷めやまぬまま自身の部屋に引きこもる。娘に何をどう伝えればいいのか、熟考の末レイーロンは故郷の料理・羊肉鍋を陳と共に作り始める 部屋でゲームに逃避していたチェンペイが懐かしい匂いに誘われ卓につく。会話はなく晴れない空気に2人が不安げに見つめる中、チェンペイはその思いを口に運んだ。